課題整理総括表の記入例82本と書き方|認知症・脳梗塞・看取り期の通し例、阻害要因・見通し・ニーズ案
課題整理総括表は、アセスメントで分かったことを「なぜこの課題なのか」が他の職種にも見える形に並べ直す一枚です。義務づけられた様式ではありませんが、担当者会議や退院前カンファレンスで、ケアマネジャーの見立てをそのまま共有できます。ここでは様式の欄ごとに、何をどう書くかと記入例をまとめました。記入例はコピーしてメモ板にため、課題整理総括表AIで様式の形に仕上げられます。
アセスメントと課題の整理
最終更新:2026年9月14日/令和6年度介護報酬改定後の制度および現行の居宅サービス計画書標準様式に基づいて作成しています。
この記事の内容
課題整理総括表とは、何のための様式か
課題整理総括表は、平成26年6月に厚生労働省が示した「課題整理総括表・評価表の活用の手引き」の中の様式です。アセスメントで集めた事実を、自立した日常生活を妨げている要因と結びつけて整理し、見通しを立てて、生活全般の解決すべき課題(ニーズ)を導くまでの流れを、A4横1枚に並べたものです。
ケアマネジャーは、アセスメントの用紙とケアプランの間で、頭の中でかなりの量の判断をしています。「膝が痛い」「独居」「本人はまだ畑に出たい」——この3つから、なぜ「転ばずに家の中を移動したい」というニーズが出てくるのか。その過程は、ふだんはどこにも残りません。課題整理総括表は、その見立ての過程を紙にするための様式です。
ですから、この様式で問われるのは文章のうまさではありません。事実 → 要因 → 見通し → ニーズが、横に読んでつながっているかどうかです。
様式のどこに何を書くか(全体像)
様式は大きく4つのかたまりでできています。上から順に埋めていくと、迷いにくくなります。
| 欄 | 書くこと | 目安 |
|---|---|---|
| 利用者及び家族の生活に対する意向 | ご本人とご家族が、これからどう暮らしたいか。それぞれの言葉で分けて書く | 2〜4行 |
| 自立した日常生活の阻害要因 (心身の状態、環境等)①〜⑥ | 自立した生活を妨げている要因を、最大6つまで番号を付けて挙げる | 1つ1行 |
| 状況の事実(25行) | 移動・食事・排泄・口腔・服薬・入浴などの項目ごとに、現在(自立/見守り/一部介助/全介助など)、要因(①〜⑥の番号)、改善/維持の可能性(改善/維持/悪化)、備考(事実を短く) | 各行1〜2行 |
| 見通し | 要因と改善/維持の可能性をふまえて、どう支援すればどうなりそうか | 3〜6行 |
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ)【案】/優先順位 | 見通しから導いたニーズの案と、その順番 | 3〜5つ |
「状況の事実」の25行は、全部の行に何か書かなければならないものではありません。その方に関係のない項目は空欄のままで構いません。逆に、要因の番号が一度も引かれていない阻害要因があったら、それは本当に要因なのか見直す合図です。
利用者及び家族の生活に対する意向
ここは、ご本人とご家族の言葉を分けて書く欄です。まとめてしまうと、どちらの希望なのかが後で分からなくなります。食い違っているときは、無理にそろえず、両方をそのまま残しておくほうが、担当者会議で扱いやすくなります。
そのままコピーして、名前や関係を書き換えてお使いください。
(本人)住み慣れたこの家で、できることは自分でしながら暮らしたい。/(長女)本人の希望は大事にしたいが、一人にしておくのは心配なので、日中に誰かが見てくれると安心。
(本人)また畑に出たい。人の世話にはなりたくない。/(妻)無理をしてまた転ぶのが心配。安全に動けるようにしてほしい。
(本人)迷惑をかけたくないので、なるべく自分でやりたい。/(長男・別居)週末は自分が行けるが、平日が不安。介護保険で埋められるところは使ってほしい。
(本人)お風呂に一人で入れるようになりたい。/(夫)介助は続けたいが、腰を痛めているので、入浴だけは代わってもらえると助かる。
(本人)できるだけ家で過ごしたい。デイは週1回くらいならいい。/(長男)仕事で日中いないので、転ばないように見てもらえる場所があると助かる。
(本人)もう一度、自分で買い物に行けるようになりたい。/(妻)一緒に出かけられるなら、私も気が晴れる。
(本人)入院はもうしたくない。息苦しくならないように過ごしたい。/(長女)体重と足のむくみを、毎日見てくれる人がいると安心。
(本人)特に困っていることはない。/(次女)物忘れが増えて、火の消し忘れが何度かあった。本人が嫌がらない形で見守りを入れたい。
自立した日常生活の阻害要因①〜⑥(ここが要)
この様式でいちばん大事な欄です。ここに挙げた要因に番号を付け、下の「状況の事実」の各行から、その番号で引きます。つまり、阻害要因はあとで引かれる見出しです。
探すときは、3つの方向から見ていくと漏れにくくなります。
- 心身:疾患そのものより、疾患が生活のどこを止めているかを書く
- 環境:住まいの段差、手すりの有無、トイレと寝室の距離、交通の便
- 社会・関係:介護者の状況、近隣との関わり、経済面、本人の受け止め
よくあるのが、「脳梗塞後遺症」「認知症」と病名だけで止めてしまう書き方です。病名は事実ですが、それだけでは何が妨げになっているのか分かりません。「脳梗塞後遺症による右片麻痺があり、入浴と屋外の移動に介助を要する」まで書くと、状況の事実の行から番号で引けるようになります。
心身・環境・社会の順に並べています。3つでも4つでも構いません。
脳梗塞後遺症による右片麻痺があり、移動と入浴に介助を要する
変形性膝関節症による疼痛があり、連続して歩ける距離が5分程度に制限されている
短期記憶の低下があり、服薬の自己管理が難しい
慢性心不全があり、労作時の息切れのため屋外での活動が制限されている
難聴があり、電話での連絡や複数人の場での会話が聞き取りにくい
食事の準備を自分で行うことが難しく、食事の内容が偏りやすい
独居で、日中に見守りを行える人が近くにいない
主介護者である妻が腰痛を抱えており、入浴介助を続けることが難しい
玄関に3段の段差があり手すりがないため、外出をためらっている
寝室が2階、トイレが1階にあり、夜間の移動に転倒の不安がある
転倒した経験から外出への不安が強く、活動の範囲が自宅内にとどまっている
「人に迷惑をかけたくない」という思いが強く、サービスの利用に抵抗がある
病名だけで止めずに、その病気や状態が、生活のどこを止めているかまで書いた例を、心身・環境・社会の順に足しておきます。
心身の状態(疾患・症状ごと)
アルツハイマー型認知症により、日付や予定を覚えておくことが難しく、通院や服薬の管理を一人で行えない
パーキンソン病によるすくみ足があり、方向転換や狭い場所で転倒しやすい
COPDによる息切れがあり、入浴や更衣など腕を上げる動作の途中で休憩を要する
糖尿病の食事療法と服薬の管理が自己流になりやすく、血糖値が安定しない
慢性腎不全で週3回の透析があり、透析日は疲労のため家事や外出ができない
がんの骨転移による痛みがあり、日によって動ける範囲が大きく変わる
大腿骨頸部骨折の術後で、杖での歩行が安定しておらず、屋外の移動に不安が残る
加齢黄斑変性による視力の低下があり、薬の区別や書類の確認が難しい
抑うつ状態があり、意欲が低下して、食事や入浴を後回しにしがちである
嚥下機能の低下があり、水分や固い物でむせることがある
関節リウマチによる手指の変形があり、ボタンの留め外しや容器の蓋の開閉が難しい
脊柱管狭窄症による下肢のしびれがあり、長く立っていることができない
夜間の頻尿があり、睡眠が分断されて日中の活動量が落ちている
低栄養があり、体重が半年で4kg減って、立ち上がりの力が弱くなっている
環境(住まい・地域)
浴室に手すりがなく、浴槽のまたぎが高いため、一人での入浴に不安がある
最寄りのバス停まで坂道があり、通院や買い物の手段が限られている
屋内に物が多く通路が狭いため、歩行器を使うことができない
エレベーターのない集合住宅の3階に住んでおり、外出の機会が少ない
社会・関係(家族・経済・本人の受け止め)
主介護者の夫も要介護1で、日中の見守りや家事の支援を十分に行うことが難しい
長男は遠方に住んでおり、急な受診や手続きに付き添うことができない
年金収入のみで、サービスの利用回数を増やすことに経済的な不安がある
近所との付き合いがなく、困ったときに頼れる人が身近にいない
病気の受け止めができておらず、リハビリの必要性を感じていない
金銭の管理に不安があり、訪問販売で不要な契約をしたことがある
番号の付け方に決まりはありませんが、状況の事実で何度も引く要因を①に置くと、見る人が追いやすくなります。
状況の事実(25行)の埋め方
移動・食事・排泄・口腔・服薬・入浴・更衣・掃除・洗濯・買物・金銭管理・コミュニケーション・社会との関わり…といった項目が並びます。1行につき4つの欄を埋めます。
| 欄 | 何を入れるか | 迷ったときは |
|---|---|---|
| 現在 | 自立/見守り/一部介助/全介助 などから選ぶ | 「できる/できない」ではなく、今どういう手を借りているかで選ぶ |
| 要因 | 上で番号を振った阻害要因の番号(①〜⑥) | 複数あれば複数書いてよい。引く番号がない行は、要因の立て方を見直す |
| 改善/維持の可能性 | 改善/維持/悪化 の3つから | 支援を入れたときにどうなるかで選ぶ。今のままどうなるか、ではない |
| 備考 | 状況の事実と、いま入っている支援を短く | 数字(週何回、何割、何日分)を1つ入れると、次に見た人が比べられる |
「改善/維持の可能性」は、判断が分かれるところです。迷ったときは、担当者会議で他の職種に聞くのが早いです。リハビリ職、訪問看護、福祉用具の方は、それぞれ違う見立てを持っています。そこで意見が割れること自体が、この様式の役目でもあります。
事実だけを短く。評価や推測は「見通し」の欄に書きます。
屋内は伝い歩きで移動している。夜間のトイレは長女が付き添っている。
週2回の通所介護で入浴。自宅の浴槽はまたぎが高く、現在は使っていない。
朝夕の内服。飲み忘れが週に2〜3回あり、残薬が20日分ある。
妻が調理し、本人は配膳のみ行っている。食事量は普通食の8割程度。
尿意はあるが間に合わないことが週1〜2回。日中はリハビリパンツを使用している。
週1回、近所の方が様子を見に来てくれている。本人はそれを楽しみにしている。
記入例:1人分を25行すべて埋めてみると
ここからは、架空の方1人分で、25行を上から順に埋めた例です。80代の女性、独居、要介護2。変形性膝関節症があり、物忘れが増えてきました。長女は隣の市に住み、週1回来ています。
まず、この方の阻害要因を次のように立てたとします。
- ① 変形性膝関節症による膝の痛みがあり、連続して歩ける距離が短い
- ② 短期記憶の低下があり、服薬や金銭の管理を一人で行うことが難しい
- ③ 浴室に手すりがなく、浴槽のまたぎが高い
- ④ 独居で、日中に見守りや声かけを行える人がいない
- ⑤ 長女は隣の市に住んでおり、来られるのは週1回に限られる
- ⑥「人の世話にはなりたくない」という思いが強く、サービスの利用に消極的
様式の注意書きでは、「要因」は、現在が「自立」または「支障なし」以外の行に入れることになっています。自立・支障なしの行の要因が空欄なのは、そのためです。
| 項目 | 現在 | 要因 | 改善/維持の可能性 | 備考(状況・支援内容等) |
|---|---|---|---|---|
| 室内移動 | 自立 | 維持 | 伝い歩きで移動している。夜間のトイレにも一人で行けている。 | |
| 屋外移動 | 一部介助 | ① | 改善 | 杖を使うが、5分ほど歩くと膝の痛みで休む。受診は長女の車で行っている。 |
| 食事内容 | 支障あり | ②④ | 改善 | 菓子パンで済ませる日が多い。冷蔵庫に期限切れの食品が残っている。 |
| 食事摂取 | 自立 | 維持 | 箸を使って自分で食べている。むせはない。 | |
| 調理 | 見守り | ②④ | 維持 | 湯を沸かすことはできる。コンロの消し忘れが月に1〜2回ある。 |
| 排尿・排便 | 支障なし | 維持 | 尿意・便意はある。便秘の訴えはない。 | |
| 排泄動作 | 自立 | 維持 | 洋式トイレで、手すりを使って自分で行っている。 | |
| 口腔衛生 | 支障なし | 維持 | 部分入れ歯。歯科の受診は年1回。 | |
| 口腔ケア | 見守り | ② | 維持 | 入れ歯の洗浄を忘れる日がある。長女の来訪時に確認している。 |
| 服薬 | 一部介助 | ② | 改善 | 朝夕の内服。飲み忘れが週3回ほどあり、残薬が14日分ある。 |
| 入浴 | 一部介助 | ①③ | 改善 | 浴槽をまたげず、2週間ほどシャワーのみ。背中は洗えていない。 |
| 更衣 | 自立 | 維持 | 季節に合った服を選んで着ている。 | |
| 掃除 | 一部介助 | ① | 維持 | 掃除機がけは膝の痛みでできない。長女が週1回行っている。 |
| 洗濯 | 自立 | 維持 | 洗濯機を使い、室内に干している。 | |
| 整理・物品の管理 | 見守り | ② | 維持 | 郵便物がたまりやすい。大事な書類は長女が預かっている。 |
| 金銭管理 | 一部介助 | ② | 維持 | 日々の買い物は自分で支払う。通帳と公共料金の手続きは長女が管理している。 |
| 買物 | 一部介助 | ①④ | 改善 | 近所のスーパーまで歩けず、長女が週1回まとめて買っている。 |
| コミュニケーション能力 | 支障なし | 維持 | 会話に問題はない。電話にも出られる。 | |
| 認知 | 支障あり | ② | 維持 | 日付の混乱と、同じ話の繰り返しがある。認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱa(主治医意見書)。 |
| 社会との関わり | 支障あり | ①⑥ | 改善 | 以前は週1回老人会に出ていたが、膝の痛みで半年ほど行っていない。 |
| 褥瘡・皮膚の問題 | 支障なし | 維持 | 皮膚のトラブルはない。 | |
| 行動・心理症状(BPSD) | 支障なし | 維持 | 目立った症状はない。 | |
| 介護力(家族関係含む) | 支障あり | ⑤ | 維持 | 長女は仕事があり、来られるのは週1回。関係は良好。 |
| 居住環境 | 支障あり | ③ | 改善 | 浴室と玄関に手すりがない。玄関に15cmほどの段差が1段ある。 |
| (空欄の行) | その方に必要な項目を足して使える(例:通院、火の始末)。 |
こうして並べると、②(物忘れ)が7行、①(膝の痛み)が5行で引かれていることが分かります。何度も引かれる要因ほど、見通しとニーズ案で先に扱う候補になります。
「見通し」欄の書き方(いちばん迷うところ)
見通しは、この様式でいちばん手が止まる欄です。書くことは1つだけで、どんな支援を入れると、どうなりそうかです。
型にすると、次の3つが入っていれば形になります。
- 何を入れるか(訪問リハ、福祉用具、通所、家族の役割…)
- その結果どうなりそうか(維持できる/改善が見込める/悪化を遅らせられる)
- どの要因に対してか(①〜⑥の番号を添える)
「よくなるといいですね」で終わる文は、見通しではありません。うまくいかなかったときにどうするかまで書いておくと、モニタリングのときに自分が助かります。
訪問リハビリテーションで下肢の筋力維持と歩行の安定を図ることで、現在の屋内歩行は維持できる見込みです。屋外は当面、通所介護の送迎で外出の機会を確保します。(要因①③)
服薬カレンダーの設置と訪問介護による声かけで、飲み忘れは減らせる見込みです。3か月後に残薬を確認し、変化がなければ訪問看護による管理を検討します。(要因②)
主介護者の腰痛は続くことが見込まれるため、入浴を通所介護に移すことで、在宅での生活を続けられると考えます。(要因④)
心不全の急性増悪の可能性があり、体重と浮腫の変化を訪問看護が週1回確認することで、早めに受診につなげられる見込みです。悪化した場合は、サービスの組み替えが必要になります。(要因⑤)
玄関の手すり設置と段差の解消により、見守りがあれば外出できるようになる見込みです。(要因⑥)
「迷惑をかけたくない」というお気持ちを尊重し、まずは短時間の通所から始めることで、利用への抵抗は和らぐ可能性があります。(要因③)
訪問介護による週2回の服薬の声かけと、薬局での一包化により、飲み忘れは週1回以下に減らせる見込みです。3か月後に残薬を数えて確かめます。(要因②)
浴室に手すりとバスボードを入れ、通所介護での入浴を週2回にすることで、清潔を保てる見込みです。自宅での入浴は、福祉用具の効果を見てから検討します。(要因①③)
通所リハビリテーションで膝の周りの筋力をつけることで、近所のスーパーまで休みながら歩けるようになる可能性があります。痛みが強くなる場合は、主治医に相談します。(要因①)
配食サービスを週5回利用することで、食事の偏りの改善が見込めます。体重を月1回確認し、減るようであれば管理栄養士の助言を受けます。(要因②④)
「世話になりたくない」というお気持ちに配慮し、まずは老人会の送迎ボランティアから声をかけてもらうことで、外出の機会を取り戻せる可能性があります。(要因⑥)
パーキンソン病の症状は少しずつ進むと考えられますが、服薬の時間を守り、訪問リハビリテーションで動作の練習を続けることで、自宅内の移動は当面維持できる見込みです。
認知機能の低下が進む可能性があるため、今のうちに金銭管理の方法を長女と決めておくことで、生活上のトラブルを防げる見込みです。日常生活自立支援事業の利用も視野に入れます。
主介護者の夫の負担が増えているため、短期入所生活介護を月に数日組み込むことで、在宅での介護を続けられる見込みです。
透析日の疲労が大きいため、透析のない日に家事の支援を集めることで、生活のリズムを保てる見込みです。
嚥下機能の低下は進む可能性があります。訪問歯科による口腔ケアと、食事の形態の見直しにより、誤嚥性肺炎の予防を図ります。変化があれば、言語聴覚士の評価を依頼します。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)【案】と優先順位
見通しまで書けていれば、ニーズ案はその裏返しです。「支援を入れればこうなりそう」を、ご本人を主語にした望む状態に置き換えます。
ここで書くのはあくまで案です。担当者会議でご本人・ご家族と確かめたうえで、第2表のニーズ欄に移します。書き方そのものはニーズ(生活全般の解決すべき課題)の書き方にまとめています。
転倒せずに、自宅の中を自分で移動して生活したい
手すりを使って、一人で浴槽に入りたい
薬を飲み忘れずに、体調を保ちたい
妻の負担を減らしながら、自宅での生活を続けたい
週に一度は外に出て、人と話す機会をもちたい
息切れを起こさずに、自分のペースで身の回りのことをしたい
薬をきちんと飲んで、体調を崩さずに一人暮らしを続けたい
週に2回は湯船につかって、さっぱりしたい
近所のスーパーまで、休みながらでも自分で歩いて行きたい
栄養のある食事をとって、体重を落とさないようにしたい
老人会にまた顔を出して、友人と話したい
透析のない日は、疲れすぎずに家のことをしたい
むせずに、好きな物を食べ続けたい
夫と二人の生活を、無理のない形で続けたい
夜はぐっすり眠って、日中は起きて過ごしたい
お金のことで困らないように、娘と一緒に管理したい
様式の注意書きでは、優先順位は数字で入れ、解決が必要でも今回の計画期間では取り上げることが難しい課題には「-」を入れることになっています。取り上げない理由は、支援経過に一言残しておくと、次の見直しで迷いません。
優先順位は、命と安全に関わるもの、放っておくと悪くなるもの、ご本人がいちばん困っているものの順で考えると、説明しやすくなります。ご本人の希望と、専門職から見た危険度がずれることもあります。そのときは、順番を変える前に、なぜその順にしたのかを備考に残しておくと、後から読む人に伝わります。
状態像別の記入例(認知症・脳梗塞・看取り期)
上の通し例は「膝の痛み・物忘れ・独居」の1人分でした。ここでは、よくある3つの状態像で、意向 → 阻害要因 → 状況の事実 → 見通し → ニーズ案と優先順位までを、1人ずつ通して書いてみます。どれも架空の方です。状況の事実は、25行のうち「自立」「支障なし」以外になる主な行だけを載せています。
例1 認知症(アルツハイマー型)・夫と二人暮らし・要介護1
架空の方です。70代後半の女性。アルツハイマー型認知症と診断されて2年。80代の夫と二人暮らしで、長男は県外に住んでいます。認知症高齢者の日常生活自立度はⅡb(主治医意見書)。
利用者及び家族の生活に対する意向
(夫)できるだけ二人で家で暮らしたい。夕方に外へ出ようとするときと、火の始末が心配。
自立した日常生活の阻害要因
- ① アルツハイマー型認知症による短期記憶の低下があり、服薬や家事の手順を忘れることがある
- ② 見当識の低下があり、夕方になると落ち着かなくなり、外へ出ようとすることがある
- ③ 主介護者の夫も80代で持病があり、夜間の対応で睡眠が不足している
- ④ ガスコンロを使っており、火の消し忘れがある
- ⑤ 外出の機会が減り、日中の活動量が少ない
- ⑥ 本人・夫とも、病気の進み方や使えるサービスについて知る機会がなかった
状況の事実(この方で「自立」「支障なし」以外になる主な行)
| 項目 | 現在 | 要因 | 改善/維持の可能性 | 備考(状況・支援内容等) |
|---|---|---|---|---|
| 調理 | 見守り | ①④ | 維持 | 味付けはできる。鍋を焦がすことが月に2回ほどある。 |
| 服薬 | 一部介助 | ① | 改善 | 夫が手渡している。夕食後の分を飲み忘れることが週2回ほどある。 |
| 金銭管理 | 一部介助 | ① | 維持 | 財布の管理は本人。通帳と支払いは夫が行っている。 |
| 認知 | 支障あり | ①② | 維持 | 数分前の会話を忘れる。日付があいまい。 |
| 行動・心理症状(BPSD) | 支障あり | ② | 改善 | 夕方に「家に帰る」と玄関から出ようとすることが週2〜3回ある。 |
| 社会との関わり | 支障あり | ⑤ | 改善 | 以前は町内の体操教室に通っていたが、1年ほど行っていない。 |
| 介護力(家族関係含む) | 支障あり | ③⑥ | 維持 | 夫は協力的だが、夜に何度も起きるため疲れがたまっている。長男は月1回電話。 |
| 居住環境 | 支障あり | ④ | 改善 | ガスコンロ。玄関の鍵は内側から簡単に開けられる。 |
見通しと、生活全般の解決すべき課題(ニーズ)【案】
| 見通し | ニーズ【案】 | 優先 |
|---|---|---|
| 通所介護(認知症対応型を含め検討)で日中に体を動かし、人と話す時間をつくることで、夕方の落ち着かなさが和らぐ可能性があります。(要因②⑤) | 日中は通いの場で体を動かし、夕方を穏やかに過ごしたい | 1 |
| IH調理器への切り替えと、夫による火の元の確認で、火の事故を防げる見込みです。台所に立つ役割は残します。(要因①④) | 火の心配なく、台所に立ち続けたい | 2 |
| 通所の日と短期入所生活介護を月数日組み合わせることで、夫が休める時間をつくり、二人の暮らしを続けられる見込みです。(要因③⑥) | 夫が体調を崩さずに、二人の暮らしを続けたい | 3 |
主任ケアマネの視点:認知症の方では、「認知」「BPSD」の行に要因を入れて終わりにしがちですが、その症状が生活のどの行に出ているか(調理・服薬・金銭管理)を引けると、ニーズが具体的になります。夫の疲れは「介護力」の行に事実として書き、ニーズ案にも入れておくと、第2表でご家族への支援を位置づけやすくなります。
例2 脳梗塞の後遺症(右片麻痺・失語)・退院直後・要介護3
架空の方です。70代前半の男性。脳梗塞で3か月入院し、回復期リハビリテーション病棟から自宅に退院したばかりです。右半身にまひが残り、言葉が出にくい失語があります。60代の妻と二人暮らし。
利用者及び家族の生活に対する意向
(妻)介護は続けたいが、腰が痛く、お風呂の介助が不安。
自立した日常生活の阻害要因
- ① 右片麻痺があり、立ち上がりや歩行が不安定である
- ② 失語があり、言葉で気持ちや困りごとを伝えにくい
- ③ 上がり框の段差や、狭いトイレなど、住まいが今の体に合っていない
- ④ 妻が一人で介護しており、腰痛がある
- ⑤ 再発を防ぐための服薬と血圧の管理が欠かせない
- ⑥ できないことが増えたことで、気持ちが落ち込み、外出を嫌がっている
状況の事実(この方で「自立」「支障なし」以外になる主な行)
| 項目 | 現在 | 要因 | 改善/維持の可能性 | 備考(状況・支援内容等) |
|---|---|---|---|---|
| 室内移動 | 一部介助 | ①③ | 改善 | 四点杖を使い、妻が横について歩いている。夜間は転倒が心配。 |
| 屋外移動 | 全介助 | ①⑥ | 改善 | 通院は車いすで介助。退院後は通院以外に外出していない。 |
| 排泄動作 | 一部介助 | ①③ | 改善 | 便座への移乗はできるが、ズボンの上げ下ろしに介助が要る。 |
| 入浴 | 全介助 | ①③④ | 改善 | 退院後は清拭のみ。自宅の浴槽をまたげない。 |
| 更衣 | 一部介助 | ① | 改善 | 前開きの服なら、左手で途中まで着られる。 |
| 服薬 | 一部介助 | ⑤ | 維持 | 抗血小板薬と降圧薬。妻がお薬カレンダーで管理している。血圧手帳あり。 |
| コミュニケーション能力 | 支障あり | ② | 改善 | 「はい・いいえ」の質問には、うなずきで答えられる。短い言葉は出る。 |
| 介護力(家族関係含む) | 支障あり | ④ | 維持 | 妻は介護に意欲があるが、腰痛で整形外科に通っている。 |
| 居住環境 | 支障あり | ③ | 改善 | 上がり框が25cm。トイレに手すりがない。寝室は2階(退院後は1階の居間に介護用ベッド)。 |
見通しと、生活全般の解決すべき課題(ニーズ)【案】
| 見通し | ニーズ【案】 | 優先 |
|---|---|---|
| 訪問リハビリテーションで自宅のトイレ・寝室での動作を練習し、トイレの手すりを付けることで、昼間のトイレは見守りでできるようになる見込みです。(要因①③) | 昼間のトイレは、自分で行けるようになりたい | 1 |
| 通所リハビリテーションでの入浴と言語の練習により、清潔を保ちながら、伝える手段(うなずき・指さしのボード)を増やせる見込みです。(要因②③④) | 週に2回はお風呂に入って、さっぱりしたい | 2 |
| 服薬と血圧の記録を続け、受診時に主治医へ伝えることで、再発の危険を減らせる見込みです。(要因⑤) | 薬と血圧の管理を続けて、再び倒れないようにしたい | 3 |
主任ケアマネの視点:退院直後は、「改善」の見込みが立てやすい時期です。病院のリハビリテーション計画書や看護サマリーの内容を「備考」に写しておくと、見通しの根拠になります。失語のある方の意向は、どう確かめたか(うなずき・身ぶり)も書いておくと、本人の声を聞いたことが伝わります。
例3 末期がん・自宅での看取り期・要介護4
架空の方です。80代前半の男性。膵臓がんの末期で、本人とご家族は「最期まで家で」と決めています。長男夫婦と同居。訪問診療と訪問看護が入っています。
利用者及び家族の生活に対する意向
(長男夫婦)本人の希望をかなえたい。急に変わったときにどうすればよいか不安。
自立した日常生活の阻害要因
- ① がんの進行による痛みとだるさがある
- ② 食事の量が減り、体力が落ちている
- ③ 寝ている時間が長く、床ずれができやすい
- ④ 家族が、最期の時期の体の変化や対応を知らず、不安が強い
- ⑤ 本人は、残された時間を家族や友人と過ごしたいと考えている
状況の事実(この方で「自立」「支障なし」以外になる主な行)
| 項目 | 現在 | 要因 | 改善/維持の可能性 | 備考(状況・支援内容等) |
|---|---|---|---|---|
| 室内移動 | 一部介助 | ①② | 悪化 | トイレまでは長男が支えて歩いている。ここ1週間で足元がふらつくようになった。 |
| 食事摂取 | 一部介助 | ② | 悪化 | 好きな果物やゼリーを数口。水分は吸い飲みでとっている。 |
| 排泄動作 | 一部介助 | ①② | 悪化 | 夜間は尿器を使っている。 |
| 服薬 | 全介助 | ① | 維持 | 痛み止めの貼り薬(医療用麻薬)。訪問看護が貼り替えと痛みの評価をしている。 |
| 褥瘡・皮膚の問題 | 支障あり | ③ | 悪化 | 仙骨部に赤みがある(押すと消える)。 |
| 介護力(家族関係含む) | 支障あり | ④ | 維持 | 長男の妻が主に介護。夜間の急変時にどこへ連絡するかが決まっていなかった。 |
| 居住環境 | 支障あり | ③ | 改善 | 布団で寝ている。介護用ベッドと床ずれ予防のマットレスは未導入。 |
見通しと、生活全般の解決すべき課題(ニーズ)【案】
| 見通し | ニーズ【案】 | 優先 |
|---|---|---|
| 訪問診療・訪問看護と連携して痛みを調整することで、苦痛の少ない時間を保てる見込みです。状態は日ごとに変わるため、週単位で見直します。(要因①) | 痛みが少なく、家で穏やかに過ごしたい | 1 |
| 介護用ベッドと床ずれ予防のマットレスを入れ、体の向きを変える支援を行うことで、床ずれの悪化を防げる見込みです。(要因③) | 床ずれを作らず、気持ちよく休みたい | 2 |
| 訪問看護から、これから起こりうる体の変化と連絡先をご家族に説明してもらうことで、落ち着いて付き添える見込みです。(要因④) | 家族が不安なく、最期まで付き添えるようにしたい | 3 |
主任ケアマネの視点:看取り期は、「改善/維持の可能性」に「悪化」を書いてよい時期です。悪化を前提に、見通しでは「苦痛を減らす」「悪化を遅らせる」「家族が付き添える」ことを書きます。状態が早く変わるので、総括表は作って終わりにせず、短い間隔で見直してください。なお、末期の悪性腫瘍の方の訪問看護は、介護保険ではなく医療保険からの提供になります。
3人を並べると、同じ様式でも「改善」「維持」「悪化」の置き方で、見通しの書き方が変わることが分かります。認知症は症状が生活のどの行に出ているか、脳梗塞の退院直後は改善の見込み、看取り期は悪化を前提にした苦痛の軽減。書き始める前に、この方はどの時期にいるのかを一度考えると、見通しの欄で迷いにくくなります。
病名ごとのケアプランの文例は、認知症・脳梗塞・看取り期・疾患別の文例(28疾患)にもまとめています。
記入例をためて、課題整理総括表AIに仕上げてもらう
気になる記入例の「コピー」を押すと、画面の右下のメモ板に欄の名前つきでたまります。そのまま課題整理総括表AIを開いて「AIのメモ欄に入れる」を押すと、阻害要因①〜⑥の案・状況の事実25行・見通し・ニーズ案までを様式5の順に下書きします。阻害要因はAIが案を出し、最初にあなたに確かめてから書きます。Excel と印刷(A4横1枚)で出せます。登録もインストールもいりません。
課題整理総括表AIを開く →いつ使うと役に立つか
作ること自体が目的ではないので、使う場面から逆算すると負担が減ります。実際に効く場面は、だいたい次の4つです。
- サービス担当者会議:この一枚を配ると、説明の時間が短くなります。各職種が「自分はこの要因に対して何ができるか」で発言しやすくなります
- 退院前カンファレンス:病院側に、在宅で何が妨げになるかを短時間で伝えられます
- 支援が行き詰まったとき:要因の番号が引かれていない行や、見通しが書けない行に、見落としが出ます
- 新人・後輩への指導:ケアプランの添削より、この一枚を一緒に書くほうが、考える順番が伝わります
毎回の更新で全員分を作る、という使い方をしている事業所はあまり多くありません。困難事例と、初回・区分変更のときに絞って使う、という形が現実的だと思います。
書いたあとに、ひと通り確かめること
提出前に、次の6つを見ておくと、抜けの多くは防げます。
- 阻害要因が病名だけになっていないか(生活のどこが止まっているかまで書けているか)
- 状況の事実の「要因」欄から、一度も引かれていない阻害要因がないか
- 「改善/維持の可能性」を、支援を入れたときで判断しているか
- 見通しに、何を入れるかとどうなりそうかの両方が入っているか
- ニーズ案が、ご本人を主語にした望む状態になっているか
- 意向欄のご本人の言葉が、ニーズ案のどこかに生きているか
この6つは、そのまま第1表・第2表の点検にも使えます。課題整理総括表がきちんと書けていれば、第2表のニーズ・目標・サービス内容は、ほとんど写すだけで通ります。
よくある質問
運営基準で義務づけられた様式ではありません。平成26年6月の「課題整理総括表・評価表の活用の手引き」で示され、活用が勧められているものです。ただし、保険者によっては運営指導(実地指導)の際に提出を求められることがありますし、法定研修や事例検討で使う機会も増えています。作らなくても基準違反にはなりませんが、アセスメントからニーズを導いた過程を説明する道具としては便利です。
厚生労働省の「課題整理総括表・評価表の活用の手引き」として公開されており、都道府県の介護支援専門員協会や社会福祉協議会のサイトからもダウンロードできます。お使いの介護ソフトに様式が入っていることもあります。細部が自治体で異なる場合があるので、保険者が示しているものがあれば、そちらに合わせてください。このサイトの課題整理総括表AIでは、様式と同じ配置のExcelと、A4横1枚の印刷用紙面を出せます。
はい。「改善/維持の可能性」は、現在の状況が改善・維持・悪化のどれに向かう可能性が高いかを書く欄です。末期がんなどの看取り期は、悪化を前提にしたうえで、見通しの欄に「苦痛を減らす」「悪化を遅らせる」「家族が付き添える」といった支援の見込みを書きます。状態が早く変わるので、短い間隔で見直してください。
①〜⑥は「最大6つまで書ける」という枠で、全部埋める必要はありません。3つでも4つでも構いません。大事なのは数ではなく、状況の事実の「要因」欄から番号で引けるように、要因が具体的に書かれていることです。逆に7つ以上出てきたときは、近いものをまとめられないか考えてみてください。
アセスメントシートは情報を集めて記録する用紙、課題整理総括表はその情報を整理して見立てを示す用紙です。アセスメントシートに「独居」「膝の痛み」と書いてあっても、それがどうニーズにつながるかまでは書かれていません。課題整理総括表は、その間をつなぐ一枚です。アセスメントシートの書き方は別の記事にまとめています。
手引きでは2つの様式が一緒に示されています。課題整理総括表がケアプランを作る前の整理、評価表はモニタリングの段階で目標の達成状況を振り返るものです。両方を必ず使わなければならないわけではなく、事業所によっては総括表だけを使っていることもあります。
様式の注意書きでは、要因の番号は、現在が「自立」または「支障なし」以外の行に入れることになっています。改善/維持の可能性は、今回の認定の有効期間でどうなりそうかを、ケアマネジャーの判断で選ぶ欄です。自立の行は「維持」を選ぶことが多くなります。
様式の注意書きで、状況の事実の各項目は課題分析標準項目に準拠しており、必要に応じて追加して差し支えないとされています。いちばん下の空欄の行に、通院や火の始末など、その方に必要な項目を足して使えます。
総括表に書くのはあくまで【案】です。担当者会議でご本人・ご家族と話し合う中で言葉が変わるのは、よくあることです。一字一句そろえる必要はありませんが、どの見通しからそのニーズになったのかを説明できるようにしておくと安心です。