ケアプラン第1表の書き方と記入例|意向・課題分析の結果・総合的な援助の方針
第1表は、その人の支援全体の「入口」であり「顔」にあたる様式です。ここが曖昧だと、第2表以降がすべてぼやけます。特に意向欄と総合的な援助の方針は、チーム全体が同じ方向を向くための土台になります。
第1表(意向・課題分析・援助の方針)
最終更新:2026年10月10日/令和6年度介護報酬改定後の制度および現行の居宅サービス計画書標準様式に基づいて作成しています。
第1表の構成
第1表には、利用者の基本情報のほか、次の内容を記載します。
- 利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
- 介護認定審査会の意見及びサービスの種類の指定
- 総合的な援助の方針
- 生活援助中心型の算定理由(該当する場合)
利用者及び家族の意向の書き方
ここは、できる限りご本人の言葉に近い表現で書きます。要約しすぎると、その人らしさが消えてしまいます。
重要なのは、ご本人の意向とご家族の意向を分けて書くことです。両者が一致しないことは珍しくなく、むしろその違いこそが支援の焦点になります。「本人は自宅で暮らし続けたいが、家族は独居の安全に不安を感じている」と書けば、何を調整すべきかがチームに伝わります。
「特になし」で済ませるのは避けたいところです。意向が語られない場合でも、その背景(認知症により表出が難しい、遠慮しているなど)を書くことで支援の手がかりになります。
課題分析の結果の書き方
課題分析(アセスメント)で把握した心身の状況、生活環境、これまでの経過を踏まえて、支援が必要な理由を整理します。
ここは第2表のニーズの根拠になる部分です。ここに書かれていない課題が、第2表に突然ニーズとして登場すると、話がつながらなくなります。
総合的な援助の方針の書き方
支援チーム全体で共有する方向性を書く欄です。訪問介護員も看護師も福祉用具の担当者も読む前提で、「この方にどう関わればよいか」が伝わる書き方を心がけます。
また、緊急時の連絡先や、急変時にどう対応するかの方針を記載しておくことが望ましいとされています。特に独居の方や医療的な課題がある方では、この記載が実際に役立ちます。
- ◯ 認知症の進行に配慮しながら、住み慣れた自宅での生活を継続できるよう支援します。ご本人のできる力を活かし、役割を持って生活していただけるよう関わります。
- × 適切なサービスを提供し、支援していきます。(誰にでも当てはまり、何も伝えていない)
3つの欄の通し例(3人分)
第1表の3つの欄を、1人分つなげて書いた例です。意向で語られた言葉が、課題分析の結果と総合的な援助の方針にどう引き継がれているかを見てください。欄ごとにコピーできます。続柄・サービスの種類・連絡先は、その方のものに置き換えてください。
一人暮らしで、もの忘れが出てきた方
架空の例です。
利用者及び家族の生活に対する意向(ご本人)この家で、今までどおり一人で暮らしたい。料理は好きなので、台所には立ち続けたい。
長女:母の気持ちは尊重したい。ただ、火の消し忘れと薬の飲み忘れが心配。離れて暮らしているので、何かあったときにはすぐ知らせてほしい。
「この家で一人で暮らしたい。台所には立ち続けたい」と希望されています。もの忘れにより、薬の飲み忘れと火の消し忘れがみられ、長女は離れて暮らしているため、日々の確認ができません。調理は、手順の声かけがあれば行えています。好きな料理を続けながら、服薬と火の元を、毎日だれかが確かめられる体制をつくることが必要です。
「この家で、料理を続けながら一人で暮らしたい」というご本人の思いを大切に支援します。訪問介護は、調理をご本人と一緒に行い、火の元と服薬を確認します。通所介護の利用日と訪問介護の訪問日をずらし、毎日だれかが様子を確かめられるようにします。訪問時に応答がないとき、体調に変化があったときは、介護支援専門員から長女(000-000-0000)へ連絡します。
脳梗塞の後遺症があり、妻と二人暮らしの方
架空の例です。
利用者及び家族の生活に対する意向(ご本人)もう一度、妻と近所の喫茶店まで歩いて行きたい。風呂は、できれば家で入りたい。
妻:本人のやる気は応援したい。ただ、私も腰が悪く、入浴の介助は怖い。転ばせてしまわないかが不安。
「妻と近所の喫茶店まで歩いて行きたい。風呂は家で入りたい」と希望されています。脳梗塞の後遺症で左半身にまひがあり、屋内は杖と見守りで移動し、屋外は長い距離が歩けません。入浴は浴槽の出入りに介助が必要ですが、妻は腰痛があり、介助が難しい状況です。歩く力を高めるリハビリを続けることと、妻に負担をかけずに安全に入浴できる方法を整えることが必要です。
「妻と喫茶店まで歩いて行く」ことを目標に、通所リハビリテーションで歩行の練習を続け、自宅でできる練習は理学療法士がお伝えします。入浴は、当面は通所リハビリテーションで行い、自宅の浴室に手すりと入浴用のいすを整えたうえで、自宅での入浴に進めるかをチームで確かめます。奥様の腰に負担がかからないよう、介助が必要な場面は各サービスが担います。ろれつが回らない、手足に力が入らないなどの変化があったときは、すぐに救急車を呼び、主治医(○○病院:000-000-0000)へ連絡します。
認知症が進み、長男夫婦と同居している方
架空の例です。
利用者及び家族の生活に対する意向(ご本人)家にいたい。畑の様子を見に行きたい。(言葉は少ないが、畑の話になると表情が明るくなる)
長男:できるだけ家でみたい。ただ、夫婦とも仕事があり、日中に一人で外へ出てしまうのが心配。長男の妻:夜に何度も起こされ、疲れがたまっている。
ご本人は「家にいたい。畑を見に行きたい」と話され、長男夫婦は「できるだけ家でみたいが、日中の一人歩きと夜間の対応が負担」と話されています。認知症の進行により、一人で外出して戻れなくなったことが2回あり、夜間も2〜3回起きて歩かれます。ご本人が日中に安心して過ごせる場所と役割を持つことと、ご家族が休める時間を確保することが必要です。
「家で暮らし続けたい」というご本人の思いと、「できるだけ家でみたい」というご家族の思いを支えます。通所介護では、畑仕事の経験を生かして園芸の活動に参加していただき、日中を活動的に過ごすことで、夜の眠りにつなげます。ご家族が休めるよう、短期入所を月1回利用します。一人で外出されたときに備え、お住まいの地域の見守りの仕組みへの登録と、連絡の流れ(通所介護・介護支援専門員・長男 000-000-0000)を関係者で共有します。
指摘されやすいポイント
- 意向欄が「特になし」「サービスを利用したい」だけで終わっている
- 本人の意向と家族の意向が区別されていない
- 課題分析の結果と第2表のニーズがつながっていない
- 総合的な援助の方針が一般論で、その人固有の内容になっていない
- 認定審査会の意見の記載があるのに、計画に反映されていない
- 緊急時の連絡先・対応方針が書かれていない
よくある質問
両方をそのまま書きます。無理に一致させて書くと、実際の支援で生じる調整の必要性が見えなくなります。食い違いがあること自体が重要な情報であり、サービス担当者会議で検討すべき論点になります。
表情や生活の様子から読み取れること、これまでの生活歴から推測される思い、ご家族から聞き取った本人の以前からの希望などを書きます。その際、誰から聞いた情報なのか、推測であるのかが分かるように記載すると誤解を防げます。
支援チーム全体で共有したい方向性です。「何を大切にして支援するのか」「どこを目指すのか」に加え、緊急時の連絡先や対応方針を記載しておくと実務で役立ちます。