看取り・ターミナル期のケアプランの書き方|総合的な援助の方針・第2表・施設の場合
看取り期のケアプランは、それまでの「できることを増やす」計画とは向きが変わります。目標は回復ではなく安楽と本人の望む過ごし方になり、期間は短く、関係者は主治医・訪問看護・家族と一気に増えます。在宅と施設に分けて、何をどの欄に書くかを整理しました。
場面別(看取り・施設・予防・変更・災害)
最終更新:2026年9月7日/令和6年度介護報酬改定後の制度および現行の居宅サービス計画書標準様式に基づいて作成しています。
この記事の内容
看取り期のケアプランで変わること
看取り期に入ると、ケアプランの前提が3つ変わります。この3つを押さえておくと、欄ごとの書き方は自然に決まります。
- 目標の向き:「歩けるようになる」ではなく、「痛みが少なく、穏やかに過ごせる」「家族と過ごす時間がもてる」という状態の維持と安楽に向く
- 期間:状態が週単位で変わるため、短期目標は1か月程度に短くし、変更は軽微な変更の範囲かを確認しながらこまめに行う
- 関係者:主治医(訪問診療)、訪問看護、薬局、家族の役割分担がケアプランの中心になる。連絡の順番を決めておかないと、夜間に家族が迷う
また、本人が「看取り」という言葉をどこまで受け止めているかは人によって違います。本人の前で使う言葉と、記録に使う言葉は分けて考えたほうがよい場面が少なくありません。
第1表:総合的な援助の方針に書くこと
記載要領(老企第29号)では、総合的な援助の方針の欄について「あらかじめ発生する可能性が高い緊急事態が想定されている場合には、対応機関やその連絡先等について記載することが望ましい」とされています。看取り期はまさにこの場合にあたります。
書くことは3つです。本人・家族が望む過ごし方、チームで大切にすること、急変時に誰にどの順で連絡するか。特に3つ目は、家族が深夜に見る前提で、電話番号まで具体的に書いておきます。
ご本人の「最期まで自宅で過ごしたい」という希望と、ご家族の「できる限り支えたい」という思いを尊重し、痛みや不安を最小限にしながら、住み慣れた自宅で穏やかに過ごせるよう、主治医・訪問看護・介護サービスが連携して支援します。状態の変化や急変時は、まず訪問看護ステーション(電話:000-000-0000、24時間対応)へ連絡し、訪問看護から主治医(○○クリニック:000-000-0000)へ報告します。
苦痛の緩和を第一に、ご本人が望む「家族と一緒に食卓を囲む時間」を少しでも長く保てるよう支援します。食事量や意識の変化は日々の記録で共有し、ご家族の疲労にも目を向けて、必要時は短期入所や訪問介護の回数増を速やかに調整します。夜間・休日の連絡先:訪問看護○○(000-000-0000)。
ご本人は延命のための治療を望まず、「自然な形で」と話されています。その意思を医療・介護のチーム全員で共有し、呼吸苦や痛みが出たときには主治医の指示のもとで速やかに対応します。ご家族が不安なときはいつでもケアマネジャーまたは訪問看護に連絡できることを、あらかじめお伝えしています。
第2表:ニーズ・目標・サービス内容の書き方
第2表では、目標を「〜できる」で書こうとすると手が止まります。看取り期は「〜の状態で過ごせる」「〜が保たれる」という書き方に切り替えます。短期目標の期間は1か月程度にして、モニタリングのたびに見直す前提で組みます。
サービス内容には、医療保険で入る訪問看護や訪問診療も書きます。末期の悪性腫瘍の方の訪問看護は医療保険の扱いになりますが、第2表には保険の別を問わず、その方の生活を支えるサービス全体を載せます(※1欄の○で介護保険給付の対象かを示します)。
痛みや息苦しさをできるだけ抑えて、自宅で穏やかに過ごしたい
最期まで家族と一緒に、自分らしい時間を過ごしたい
苦痛が緩和され、住み慣れた自宅で穏やかに生活を続けることができる
本人の希望する過ごし方が、家族と医療・介護チームの支えのもとで保たれる
痛みの訴えがあったときに、速やかに主治医の指示による対応を受けることができる(1か月)
家族が休息をとりながら、無理なく介護を続けることができる(1か月)
全身状態・疼痛の観察、症状緩和のケア、主治医への報告と指示の確認、ご家族への介護方法の助言
身体の清潔保持(清拭・口腔ケア)、体位変換と褥瘡予防、ご本人の希望に合わせた食事・水分の介助
家族への支援も計画に入れる
看取り期のケアプランで抜けやすいのが、家族の疲労と不安です。介護者が倒れると在宅での看取りは続きません。ニーズや短期目標に「家族が休息をとれる」を1本入れ、短期入所や訪問介護の回数、レスパイトの受け皿を先に確保しておきます。
- 介護者の睡眠と食事が確保できているかを、モニタリングのたびに確認する
- 家族が「いつ何をすればよいか」を紙で持てるようにする(連絡先、対応の順番、薬の場所)
- 本人の意思決定支援(人生の最終段階における医療・ケアの話し合い)は、一度で終わらせず、変化に合わせて繰り返す
- 死別後の連絡先や手続きについて、聞かれたときに答えられるよう準備しておく
施設(特養・グループホーム)で看取る場合
施設では、施設サービス計画書(特養・老健)や認知症対応型共同生活介護計画(グループホーム)の中に看取りの方針を書きます。看取り介護加算を算定する施設では、看取りに関する指針を本人・家族に説明して同意を得ること、医師が回復の見込みがないと診断していること、多職種で計画を作成し見直しを行うことが要件になっています。
居宅と違い、24時間の観察と対応を施設のチームが担うため、方針の主語は「施設の多職種チーム」になります。家族の面会や付き添いをどう保証するかも、方針に入れておくと現場が動きやすくなります。
医師より回復が困難な状態と説明を受け、ご本人・ご家族は施設での看取りを希望されています。看取りに関する指針に基づき、看護職員・介護職員・管理栄養士・生活相談員が連携して苦痛の緩和と安楽な環境づくりに努め、ご家族がいつでも面会し付き添える体制を整えます。状態の変化は速やかにご家族と嘱託医へ報告します。
令和6年度改定:ターミナルケアマネジメント加算
居宅介護支援のターミナルケアマネジメント加算は、令和6年度改定で対象が広がりました。それまでは末期の悪性腫瘍の方に限られていましたが、改定後は医師が回復の見込みがないと診断した方であれば疾患を問わず対象になっています。
- 在宅で亡くなった利用者について、死亡日および死亡日前14日以内に2日以上、居宅を訪問して状態や本人・家族の意向を把握し記録していること
- 把握した内容を主治医や居宅サービス事業者に提供していること
- 本人・家族の同意を得ていること
訪問のたびに「いつ、誰と会い、何を確認し、誰に伝えたか」を第5表に残しておくと、算定の根拠がそのまま整います。要件の細部は改定後の解釈通知をご確認ください。
よくある質問
目標やサービスの内容が変わる場合は、原則として会議の開催と計画の見直しが必要です。ただ、回数や曜日の調整など軽微な変更の範囲にとどまる場合は、一連の手続きを省略し、第5表に変更の内容と理由、関係者への共有を記録する運用が一般的です。どこまでを軽微とみるかは保険者によって違うため、事前に確認しておくと動きやすくなります。
決まりはありませんが、ケアプランはご本人・ご家族に交付する文書です。「穏やかに過ごせる」「苦痛が少ない状態が保たれる」など、ご本人が読んでも受け止められる表現を選ぶ事業所が多いと感じます。方針欄に「看取り」と書く場合も、ご本人・ご家族と使う言葉を確認してからのほうが安心です。
ご本人の受け止めを尊重し、計画にはご本人が同意できる表現で書きます。一方で、急変時の対応や連絡先はチームで共有しておく必要があるため、家族と医療チームの間で確認した内容は第5表や担当者会議の要点に残しておきます。ご本人の気持ちは変わることもあるので、話し合いは一度で終わらせないことが大切です。
末期の悪性腫瘍の方の訪問看護は医療保険からの給付になりますが、その方の生活を支えるサービスとして第2表に記載します。※1の欄に○を付けないことで、介護保険給付の対象外であることを示します。第3表の週間サービス計画表にも、訪問診療とあわせて入れておくと、家族や他の事業所が1週間の流れを把握しやすくなります。