福祉用具の理由書の書き方と記入例|軽度者の例外給付・特定福祉用具の購入・選択制
福祉用具の理由書は、様式が市町村ごとに違います。それでも、書く中身は「どの決まりに当てはまるのか」と「その用具がないと、生活のどの場面で困るのか」の2つです。ここが事実でつながっていれば、様式が変わっても書けます。
市町村に出す理由書(福祉用具・住宅改修)
最終更新:2026年9月23日/制度の細かい扱いと様式は市町村ごとに違います。対象になるかどうかの最終的な判断は保険者(市町村)が行います。
書式のまま、下書きから始める
お住まいの市町村の理由書の書式(PDF・Word・Excel)と、アセスメントや認定調査票を読み込ませると、その欄の順番どおりに下書きができます。Word・Excelの書式なら、そのファイルにそのまま書き込んで保存できます。
福祉用具の理由書AIを開く →理由書が要る3つの場面
福祉用具で理由書(確認依頼書)を書く場面は、大きく3つです。
- 軽度者の例外給付:要支援1・2、要介護1の方に、車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフトなどを貸与するとき
- 特定福祉用具の購入:入浴補助用具や腰掛便座などを購入するとき(市町村によって、理由書や意見書を求められます)
- 選択制:令和6年4月から、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉づえを除く)・多点杖は、貸与と購入を選べます。どちらにしたかと、その理由を残します
様式は市町村ごとに違います。お住まいの市町村の書式に、そのまま下書きを入れたいときは 福祉用具の理由書AI をお使いください。書式のPDFやExcelを読み込ませると、その欄の順番どおりに下書きします。
軽度者の例外給付:対象の用具と、例外の2つの道
要支援1・2、要介護1の方は、次の用具が原則として給付の対象外です。自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引するものを除く)は、要支援1・2と要介護1〜3が原則対象外です。
- 車いす・車いす付属品/特殊寝台・特殊寝台付属品/床ずれ防止用具/体位変換器/認知症老人徘徊感知機器/移動用リフト(つり具の部分を除く)
そのうえで、例外として認められる道が2つあります。
① 認定調査の基本調査の結果で当てはまる
「厚生労働大臣が定める者」に当たるかどうかを、基本調査の結果で見ます。代表的なものは次のとおりです。
- 特殊寝台:1-4 起き上がり、または 1-3 寝返りが「3.できない」
- 床ずれ防止用具・体位変換器:1-3 寝返りが「3.できない」
- 車いす:1-7 歩行が「3.できない」
- 移動用リフト:1-8 立ち上がりが「3.できない」、または 2-1 移乗が「3.一部介助」「4.全介助」
- 認知症老人徘徊感知機器:意思の伝達・記憶や理解などに支障があり、かつ移動が全介助ではない
車いすの「日常生活の範囲における移動の支援が特に必要」と、移動用リフトの「生活環境において段差の解消が必要」は、調査結果ではなく、主治医意見書や担当者会議を通じたケアマネジメントで判断します。
② 調査結果では当てはまらないが、医学的な所見から判断する(状態像 i・ii・iii)
- i 状態が変動しやすい:日によって、時間帯によって、頻繁に当てはまる状態になる(例:パーキンソン病の薬の効き目の波)
- ii 短期間で悪くなることが確実:がんの終末期など、近いうちに当てはまることが見込まれる
- iii 医学的な判断から必要:重い危険や症状の重篤化を避けるため(例:誤嚥性肺炎や心不全の回避)
②の道は、医師の医学的な所見にもとづいて判断され、サービス担当者会議などを通じて特に必要と判断され、市町村が書面などで確認するという順番で進みます。理由書には、①②のどちらの道か、②ならどの状態像かを書きます。
欄ごとの書き方(7つ)
様式が違っても、書く中身はおおむね次の7つです。
- 対象の用具:種目と品目(例「特殊寝台と付属品のサイドレール」)
- 要介護度と認定の有効期間:書式にあれば、被保険者証のとおりに
- 認定調査の結果:番号と選択肢をそのまま(例「1-3 寝返り:3.できない」)。調査票が手元になければ「確認中」とし、推測で書かない
- 該当する状態像:①②のどちらか、②なら i・ii・iii のどれか
- 医師の所見:聞いた日・方法(意見書・面談・電話)・内容。聞いていなければ空欄のままにして、先に聞く
- 必要な理由:状態 → 生活のどの場面で困っているか → その用具で何ができるようになるか(何を防げるか)の順に書く
- 担当者会議とケアプランへの位置づけ:開催日と確認された内容、第2表のどのニーズ・サービスに位置づくか
いちばん差が出るのは6です。「安全のため」「念のため」で終わらせず、その用具がない今、誰が、いつ、どの動作で困っているかを書きます。「夜間のトイレのたびに長女を起こしている」まで書くと、読み手に場面が伝わります。
記入例(14本)
「コピー」を押すと右下のメモ板にたまります。要介護度・数値・続柄は、実際の内容に置きかえてください。言い切りの表現は避け、「〜と考える」「〜と判断した」の形にしています。
1. 特殊寝台|起き上がりが困難(調査結果で該当)要介護1。認定調査では 1-4 起き上がり「3.できない」であり、厚生労働大臣が定める者に該当すると考える。夜間、布団から一人で起き上がれず、トイレのたびに長女を呼んでいる。長女は日中就労しており、夜間の介助が続くと生活が成り立たない。背上げ機能のある特殊寝台とサイドレールにより、自力での起き上がりと立ち上がりが可能となり、夜間の排泄が一人で行えるようになると見込まれるため、貸与が必要と判断した。
2. 特殊寝台|薬の効き目に波がある(状態像 i)要介護1。パーキンソン病の治療薬の効果が切れる夕方以降は、寝返り・起き上がりができない状態が続く。認定調査は日中の状態で「2.何かにつかまればできる」となっているが、日によって、また時間帯によって頻繁に「できない」状態となる。主治医(神経内科)からも、日内変動が大きく臥床時の介助量が増えるとの所見を得ている。状態が変動しやすい者(状態像 i)に該当すると考え、サービス担当者会議でも必要性を確認したため、特殊寝台の貸与が必要と判断した。
3. 特殊寝台|退院直後で急速に状態が変わる(状態像 ii)要介護1。がんの終末期であり、退院時のカンファレンスで、今後数週間で臥床時間が増え、起き上がりが困難になることが見込まれると主治医より説明を受けている。短期間のうちに厚生労働大臣が定める者に該当することが確実に見込まれる者(状態像 ii)に該当すると考える。在宅での療養を続けるうえで、背上げと高さ調整のできる特殊寝台が必要と判断した。
4. 車いす|歩行ができない(調査結果で該当)要介護1。認定調査は 1-7 歩行「3.できない」であり、厚生労働大臣が定める者に該当すると考える。屋内は伝い歩きで移動しているが、屋外はごく短い距離でも歩行が続かず、通院と買い物は家族の車と車いすで移動している。車いすの貸与により、通院と週1回の買い物への同行が続けられると見込まれるため、貸与が必要と判断した。
5. 車いす|日常生活の範囲で移動の支援が特に必要要支援2。屋内は手すりで自立しているが、自宅から最寄りのバス停まで約300mの上り坂があり、途中で息切れと下肢の疲労が強くなり休みながらでないと歩けない。主治医からも、心負荷を避けるため長距離の歩行は勧められないとの所見を得ている。日常生活の範囲における移動の支援が特に必要と認められる者に該当すると考え、サービス担当者会議でも確認したため、車いすの貸与が必要と判断した。
6. 床ずれ防止用具|寝返りが困難要介護1。認定調査は 1-3 寝返り「3.できない」であり、厚生労働大臣が定める者に該当すると考える。日中もほとんど臥床しており、同一体位が続いている。仙骨部に発赤が見られ、訪問看護からも除圧の必要があると指摘されている。体圧分散マットレスにより、褥瘡の発生を防ぎ、在宅での療養が続けられると見込まれるため、貸与が必要と判断した。
7. 体位変換器|介護者の負担が大きい要介護1。寝返りが自力ではできず、体位変換は妻が一人で行っている。妻も腰痛があり、夜間の体位変換が続くと在宅での介護が難しくなる。体位変換器により、少ない力で体位を変えられるようになり、褥瘡の予防と介護者の負担の軽減が見込まれるため、貸与が必要と判断した。
8. 認知症老人徘徊感知機器|外へ出てしまう要介護1。アルツハイマー型認知症により、記憶と理解に支障があり、日付や道順が分からなくなることがある。移動は自立しており、夜間に一人で玄関から外へ出て、近隣で保護されたことが2回ある。感知機器により、外へ出た時点で家族が気づけるようになり、行方不明と事故を防げると見込まれるため、貸与が必要と判断した。
9. 移動用リフト|立ち上がりと移乗が困難要介護1。認定調査は 1-8 立ち上がり「3.できない」、2-1 移乗「3.一部介助」であり、厚生労働大臣が定める者に該当すると考える。ベッドから車いすへの移乗は妻が抱え上げているが、体格差があり、転倒と腰痛の危険が大きい。移動用リフトにより、安全な移乗が可能となり、日中の離床が続けられると見込まれるため、貸与が必要と判断した。
10. 医学的な判断から必要(状態像 iii)要介護1。誤嚥性肺炎を繰り返しており、退院後も食事の際の姿勢の保持が難しい。主治医からは、食事中と食後2時間は上体を30度以上起こして過ごすことで誤嚥の危険を減らせるとの所見を得ている。身体への重大な危険や症状の重篤化を避けるため、医学的な判断から厚生労働大臣が定める者に該当すると考え(状態像 iii)、サービス担当者会議でも確認したため、背上げ機能のある特殊寝台の貸与が必要と判断した。
11. 特定福祉用具の購入|入浴補助用具浴槽の縁が高く(約50cm)、またぐ際にふらつき、一人では浴槽に入れない。洗い場では、しゃがむ・立ち上がるの動作に手すりがなく、家族が身体を支えている。入浴用の椅子と浴槽用手すりにより、座ったまま洗体ができ、手すりを支えに浴槽をまたげるようになると見込まれる。自宅の浴室で入浴を続けたいという本人の希望があり、購入が必要と判断した。
12. 特定福祉用具の購入|腰掛便座和式便器のため、しゃがむ・立ち上がるの動作ができず、トイレでの排泄に毎回介助が必要となっている。膝の痛みにより深くしゃがむことが難しい。据置式の腰掛便座により、洋式と同じ高さから立ち上がれるようになり、日中は一人で排泄ができると見込まれるため、購入が必要と判断した。
13. 同じ種目を再び購入する理由令和○年○月に購入した入浴用椅子について、脚部の破損により安全に使用できない状態である。修理では強度が戻らないと福祉用具専門相談員より説明があった。入浴の介助量を増やさないため、同一種目の再度の購入が必要と判断した。
14. 選択制|貸与か購入かの検討の記録対象は固定用スロープ。本人の状態は、下肢筋力の低下が緩やかに進んでおり、リハビリテーション専門職からは、今後6か月程度で段差昇降の可否が変わる可能性があるとの意見を得ている。使用する期間が長期になる見込みである一方、状態の変化に合わせて形状を変える必要があることから、貸与と購入の両方を本人・家族に説明したうえで、状態に合わせて交換できる貸与を選択した。福祉用具専門相談員による定期的な確認を受け、状態が安定した時点で改めて検討する。
この記入例を、自分のケースの言葉にする
記入例をそのまま使うより、その方の場面に置きかえたほうが、読み手に必要性が伝わります。アセスメントや認定調査票を読み込ませれば、AIが記入例の形に沿って下書きします。氏名などの欄は空けたままにします。
自分のケースで下書きする →特定福祉用具の購入と、選択制の検討の記録
購入の対象になる種目は、腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品、排泄予測支援機器、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分です。令和6年4月からは、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉づえを除く)・多点杖も購入できるようになりました(選択制)。
- 同じ年度の支給の上限は10万円です(利用者負担を含みます)
- 同じ種目は原則1回です。破損や、介護の必要の程度が著しく高くなったときなどは、改めて認められることがあります
- 選択制では、貸与と購入の両方を説明し、提案したうえで決めた過程を残します。判断の材料は、心身の状況と見通し、使う期間の見込み、医師やリハビリテーション専門職の意見、体に合わせた調整の必要、費用の負担などです
購入か貸与かで迷うときは、「今の体の状態が半年後にどうなっていそうか」を先に考えると決めやすくなります。良くなる見込みや変わりやすさがあるなら貸与、状態が安定していて長く使うなら購入が向きます。
よくある質問
Q. 医師の所見は、どのように聞けばよいですか
主治医意見書に書かれていれば、その内容をそのまま根拠にできます。書かれていないときは、電話や連絡票で「どの動作が、どういう理由で難しいか」「その用具で何を避けたいか」を聞き、聞いた日・方法・内容を理由書と支援経過に残します。ケアマネジャーの推測を、医師の所見として書かないでください。
Q. 認定調査では「できる」ですが、実際はできません。どう書けばよいですか
調査結果と実際の状態が違うときは、状態像の i・ii・iii のどれに当たるかを考えます。日や時間帯で変わるなら i、短期間で悪くなることが確実なら ii、医学的な判断から重い危険を避けるためなら iii です。どれも、医師の医学的な所見と、サービス担当者会議などでの判断が前提になります。
Q. サービス担当者会議は必ず必要ですか
例外給付では、担当者会議などを通じて「特に必要」と判断された経過が求められます。開催日と、そこで確認された内容を理由書と第4表・第5表に残しておくと、あとから説明できます。扱いは市町村ごとに違うので、様式と一緒に手引きも確認してください。
Q. どのくらいの期間で出し直しますか
認定の有効期間や、状態が変わったときに改めて確認を求める市町村が多いようです。期間も手続きも保険者ごとに違うので、担当の窓口で確かめてください。対象になるかどうかの最終的な判断も保険者が行います。
住宅改修の理由書は 住宅改修が必要な理由書の書き方と記入例 にまとめています。
毎回、同じところで手が止まるなら
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